偶像への道
1950年代になると、ホセ・グアダルーペ・クルスという芸術家兼編集者が、サントの漫画を出版するようになる。サントはその中でメキシコの歴史における最高のルチャドールとされ、彼に比肩しうるのは伝説の人物、カリマンだけであった。50年代後半、プロレスラー兼俳優フェルナンド・オセスの誘いによって、サントは映画界へと足を踏み入れることになる。とはいえ、ルチャドールとしての活動を打ち切ることのない、二足の草鞋状態での俳優活動であった。こうして、映画俳優サントのデビュー作『サント対悪の頭脳』、『サント対地獄人間』が完成した。双方とも1958年公開、脚本はフェルナンド・オセスとエンリケ・サンブラーノ、監督はホセリート・ロドリゲスである。ちなみにこれら二作の撮影はキューバで行われ、撮影が終了したのは、フィデル・カストロがハバナ入りし、キューバ革命の勝利を宣言した前日のことだった。
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