立子の俳句
絵巻もの拡げゆく如春の山 しんしんと寒さがたのし歩みゆく 午後からは頭が悪く芥子の花 朴の葉の落ちをり朴の木はいづこ ままごとの飯もおさいも土筆かな 燃えきりし焚火のそばに語りをる 蓑虫の留守かと見れば動きけり 鞦韆に腰かけて読む手紙かな 言問の出船の鐘や桜餅 ほどほどになすことおぼえ老の春 水連の敷き重なりし広葉かな この旅の思ひ出波の浮寝鳥 いつの間に風冷えて来し辛夷かな 魂の抜けはてて昼寝かな 山寺の天井までも秋日和 秋晴の茅舎訪へばよろこべり 何といふ淋しきところ宇治の冬 初秋の大きな富士に対しけり 斯かる人ありきと炭火育てつつ 大佛に足場かけたり小六月 昃れば春水の心あともどり 囀をこぼさじと抱く大樹かな 父がつけしわが名立子や月を仰ぐ 美しき緑走れり夏料理 雛飾りつつふと命惜しきかな
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