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寺島尚彦(1930~2004)

さとうきび畑
ざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけ今日も見渡すかぎりにみどりの波がうねる夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけ昔海の向こうからいくさがやってきた夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけあの日鉄の雨にうたれ父は死んでいった夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけそして私の生まれた日にいくさの終りがきた夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけ風の音にとぎれて消える母の子守歌夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけ知らないはずの父の手にだかれた夢を見た夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけ父の声をさがしながらたどる畑の道夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ広いさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけお父さんて呼んでみたいお父さんどこにいるのこのままみどりの波におぼれてしまいそう夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわけれどさとうきび畑はざわわざわわざわわ風が通りぬけるだけ今日も見渡すかぎりにみどりの波がうねる夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ忘れられない悲しみがざわわざわわざわわ波のように押しよせる風よ悲しみの歌を海に返してほしい夏の陽ざしのなかでざわわざわわざわわ風に涙はかわいてもざわわざわわざわわこの悲しみは消えない

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