窓秋の俳句
朝刊をとりて来し手に栗もてる 霧の中太陽一個象れる 白く又黒きひかりの冬の旅 ちるさくら海あをければ海へちる いつにしか白虎となりて老いにけり 草の花孤独は天に蝶ふゆる 海原の海べの酒はこぼれけり 頭の中で白い夏野となつている 人ゆきしひとすぢのみち鳥世界 石の扉を叩く満月冬の夜や 野に出れば永きひかりを春の水 百合の花超然として低からず 白い服で女が香水匂はせる 茜さし童女比ぶるものもなく 昨日の河さざなみすでに凍てしなり さすらひて見知らぬ月はなかりけり 蝶ひとつ人馬は消えてしまひけり 降る雪が川の中にもふり昏れぬ 白鳥は悲しからんに黒鳥も 星はこれ桃のゆめより生れけり 山鳩よみればまはりに雪がふる
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