久女の俳句
椅子移す音手荒さよ夜半の秋 春雨や土押し上げて枇杷二葉 夕顔やひらきかかりて襞深く 牡丹を活けておくれし夕餉かな 松とれし町の雨来て初句会 月の輪をゆり去る船や夜半の夏 拝殿の下に生まゐし子鹿かな かくらんやまぶた凹みて寝入る母 鳥雲にわれは明日たつ筑紫かな 露草や飯噴くまでの門歩き 防人の妻戀ふ歌や磯菜摘む 板の如き帯にさされぬ秋扇 春の夜のまどゐの中にゐて寂し 甕たのし葡萄の美酒がわき澄める 蚊帳の中団扇しきりに動きけり 鶴舞ふや日は金色の雲を得て 紫陽花に秋冷いたる信濃かな しろしろと花びらそりぬ月の菊 風に落つ楊貴妃櫻房のまま バナナ下げて子等に帰りし日暮かな 花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ 谺して山時鳥ほしいまま
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