一碧楼の俳句
山一つ山二つ三つ夏空 くろちりめんひんやりすあかがねひばち 闇から来る人来る人この火鉢にて煙草をすひけり 秋風家吹けば百人の女もの食へり 爐話の嘘をゆるす赤い馬車も出て来い となり住むひとびとや夕べの星ひかり われら春浅い夜にまぎれる銀座裏通銀座表通 秋の昼赤子口を突き出して何ぞ 紫ばかり朝顔が咲く工場住ひよ 女の倦怠がちらちら雪をふらすそのやうにおもふ 垣越えて来しよ枯草をしばらく歩いたでもあらう 春の夕靄立つ二つの橋を二つ渡った 霜が地に下りる堅気であるまいやつ 浪立つ冬初め膳所は低く湖のべ なんだ菜種の早咲きか買つて来たんか雨の日 基礎工事といふせめんと袋幾袋でも破いて冬の日 よもすがら水鶏の鳴けば夜のあけし 冬の日小皿五まい一枚は疵あるを愛しき藍の小皿 母よりたまはりしものの如し青い莢豌豆をたべる 赤子見て出づ門や赫つと秋晴れて
山一つ山二つ三つ夏空 くろちりめんひんやりすあかがねひばち 闇から来る人来る人この火鉢にて煙草をすひけり 秋風家吹けば百人の女もの食へり 爐話の嘘をゆるす赤い馬車も出て来い となり住むひとびとや夕べの星ひかり われら春浅い夜にまぎれる銀座裏通銀座表通 秋の昼赤子口を突き出して何ぞ 紫ばかり朝顔が咲く工場住ひよ 女の倦怠がちらちら雪をふらすそのやうにおもふ 垣越えて来しよ枯草をしばらく歩いたでもあらう 春の夕靄立つ二つの橋を二つ渡った 霜が地に下りる堅気であるまいやつ 浪立つ冬初め膳所は低く湖のべ なんだ菜種の早咲きか買つて来たんか雨の日 基礎工事といふせめんと袋幾袋でも破いて冬の日 よもすがら水鶏の鳴けば夜のあけし 冬の日小皿五まい一枚は疵あるを愛しき藍の小皿 母よりたまはりしものの如し青い莢豌豆をたべる 赤子見て出づ門や赫つと秋晴れて
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