招婿婚の研究
日本古代の婚姻形態については、正倉院に現存する8世紀の戸籍・計帳では妻の夫籍への付貫が原則であり、《万葉集》に見られるような妻問を婚姻開始時にもつとしても、結局は後世の婚制と同様な嫁聚婚に帰着したとするのが主流的説であった。しかしかかる通説を全面否定したのが高群逸枝《招婿婚の研究》である。この説は、籍帳には独身の成年男女例、1・2歳の乳児がいながら妻を付籍しない例、生家に子とともに付籍されている娘の例などの通説では説明できない事象が広く存在し、しかもかかる例が律令国家の規制の弱まる後代の籍帳ほど多くみられる点をもう一つの根拠にしているが、その最大の論拠は10世紀以降の貴族の日記から復元される婚制が婿取婚である事実であった。
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