飛騨匠物語
石川雅望作の読本。葛飾北斎画。六巻六冊。1808年刊。飛騨の名工猪名部の墨縄が弟子の檜前松光とともに蓬莱山の神仙から工技を授けられ、武蔵に下って美少年竹芝山人を助けて女一の宮との間を取り結び、やがて山人と一の宮はもと仏界を追われた人であることがわかって、ついに3人とも登仙する。全体の構成を李笠翁の『蜃中楼伝奇』によって謫仙の物語としながら、表面には『今昔物語』の百済河成の説話や、『更級日記』の竹芝寺伝説を明示し、さらに有名な左甚五郎の俗伝を連想させるなど、巧みな翻案を組合せを行っている。作者の国学や中国小説の造詣がうかがえるが、当時滝沢馬琴はこれを「世に行はるるにあらず、畢竟楽屋の評判のみ」と評した。
石川雅望作の読本。葛飾北斎画。六巻六冊。1808年刊。飛騨の名工猪名部の墨縄が弟子の檜前松光とともに蓬莱山の神仙から工技を授けられ、武蔵に下って美少年竹芝山人を助けて女一の宮との間を取り結び、やがて山人と一の宮はもと仏界を追われた人であることがわかって、ついに3人とも登仙する。全体の構成を李笠翁の『蜃中楼伝奇』によって謫仙の物語としながら、表面には『今昔物語』の百済河成の説話や、『更級日記』の竹芝寺伝説を明示し、さらに有名な左甚五郎の俗伝を連想させるなど、巧みな翻案を組合せを行っている。作者の国学や中国小説の造詣がうかがえるが、当時滝沢馬琴はこれを「世に行はるるにあらず、畢竟楽屋の評判のみ」と評した。
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