翁問答
中江藤樹の著。1641年の作。その後数回修正された。藤樹がまだ陽明学に完全に転じていない34歳頃のもので、朱子学的思想を濃厚に示している。上、下2巻と、その補遺と考えられる改正編から成る。老翁天君という師と躰充という門人との問答体で書かれている。孝を父母先祖に対するものとしてのみならず、一切の道を統括するものとして根幹的にとらえ、心法、五倫、真の学問とにせの学問、文武、軍法、法と学問、士道、神道、仏教など多方面にわたって論じ、なかんずく、仏教排斥の論は藤樹著述中最も詳しい。改正編は、のちに陽明学的立場からの改正を意図したものである。
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